虫かごで羽化したカブトムシの一生(後編)

↓ 色々あって一か月以上、前編のまま放置されていた記事の続き。
次の記事に進むためにも、遅ればせながら後編を書きました。


先日、我が家で羽化したカブトムシのうち、最後の一匹が死んだ。
infoment.hatenablog.com
今回は、前回の続きから。
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5匹の幼虫は全て羽化し、うち3匹が虫かごの中で生涯を終えた。
果たして人に捕まった彼らは幸せだったのだろうか?と、ふと考える。
「幸せ」という概念自体をカブトムシに当て嵌めること自体、意味がないことと
知りつつも、あえて考えてみた。

幼虫時代に捕まったこと

良い点:モグラに捕食されたりなど、死の危険が減った。
悪い点:自由が無くなった。

人間的感覚でいえば、狭い空間に閉じ込められることは不幸である。
しかし幼虫時代はさほど移動の必要がなく、また衣食住の不安が無くなったという点で、幸せの方が増している気がする。

サナギ時代

良い点:最も無防備と思われる時期に、命が守られている。
悪い点:特になし。

サナギ時代に人の手にあることの悪い点を、特に思いつけなかった。
従って、カブトムシにとっては一番幸せな時期かも。もっとも専門家から見れば、虫かごの中にサナギで居ることの弊害があるかもしれない。

羽化~成虫

良い点:これまた無防備な期間に、外敵から守られている。
悪い点:待ちきれなかった子供たちに触られるかもしれない。

実際にこの夏、触りたがる次男(小二)を制止した。脱皮したばかりのカブトムシにとって安全が確保されており、まだ幸せと言えるかも。

成虫~衰えるまで

良い点:衣食住に不安がなく、外敵から守られている。配偶者が準備されている。
悪い点:狭い虫かごに閉じ込められている。自由がない。飛べない。

自然において、カブトムシが異性に無事出会って、更に子孫を残せる確率はどれほどだろうか。更に言えば、交尾後のメスが散乱まで無事生き延びて、卵が無事に孵化する確率は、どれほどのものだろう。飼育に於いては、子孫を残す確率が高まるという一点で、幸せかもしれない。しかしそれ以外は、天寿を全うする(?)まで虫篭から出されることは殆どない。人間的感覚でいえば、大変不幸な状況と思う。これを書きながら、ハリー・ハーロウの「絶望の淵」実験を思い出した。

今回は、5匹すべてがオスだった。孵化して間もなく、一匹が死んだ。そこで幼虫時代を過ごした近所に二匹を放ち、二匹のメスを購入した。

同じころ、我が家の庭でセミの幼虫を見つけた。原因は定かでないが、羽化前に木から落ち、黒山の蟻に集られ、生きながら食べられていた。自然の昆虫が、自然に天寿を全うすることなどあるのだろうか。生きながら食物連鎖の上位者に捕食されるか、弱って地に落ちたところを蟻に食べられるか。いずれにしても壮絶な最期が待っている気がする。

果たして、放たれた二匹と残った二匹、どちらが幸せだったのだろう。人の身でそのようなことを考えるなど、烏滸がましいことかもしれない。

きっとまた、あっという間に夏が来る。
今はただ、遺された10匹の幼虫が無事に羽化することを祈るのみです。