「生協の注文」は過去の自分からの贈り物?

年齢と共に記憶力低下を感じる中、家族の会話でこんな一言が飛び出しました。

「一週間前に生協で何を頼んだか覚えていない。だから毎週の届け物は、
 過去の自分からのサプライズな贈り物」

その場は笑い話で終わったのですが、後から考えてみると、これはとても大事な
話だと思いました。一週間前の注文には、

・冷蔵庫の在庫確認
・来週までの予定確認
・お買い得品の補充判断

など、その時点で必要だった様々な判断が織り込まれています。
そして一度注文してしまえば、細かい内容を覚えている必要はありません。
記憶の外で、商品が届くための仕組みは着実に動き続けるからです。

問題があるとすれば、注文したことを忘れて、同じものをスーパーで買って
しまうことぐらいでしょうか(あるある?)。

しかし考えてみれば、これは単なる買い物の話ではありません。職場でも、
本質的には同じことが起きています。

例えば装置設計では、どうしても「仕様を満たすこと」に意識が集中します。
しかし実際には、

・部品交換時に手が入るか
・清掃しやすい構造か
・液体や異物が溜まらないか

といった、「未来のトラブル」を先回りして潰しておくことが極めて重要です。
こうした工夫は、問題が起きなければ目立ちません。誰かに褒められることも
少ないでしょう。しかしトラブルが起きかけた瞬間、

「対策しておいてよかった」

と、未来の自分が過去の自分に助けられる場面があります。

学習もまた、同じです。
一度学んだだけで、すべてを理解し、記憶し、使いこなせる人はいません。
しかし、

「そういえば、こんな話があった」

という程度の記憶でも、問題解決の重要な入口になることがあります。
極端に言えば、教科書の「目次」だけでも頭の片隅に残っていれば、大きな
意味があります。

学習とは、日本地図を頭の中に描くことに似ています。最初から市町村や
特産品まで覚えることはできません。しかし、日本全体の形や、県の配置
だけでも頭に入っていれば、必要になったとき、地図は縮尺を変えながら
目的地へフォーカスされていきます。

日本地図が県地図になり、市街地図になり、やがて具体的な地点へ到達する。
重要なのは、最初から全部知っていることではありません。必要になった時、

「たどり着ける状態」

を作っておくことです。

人は忘れます。しかし、構造は残ります。未来の自分が迷わないよう、
今日も少しずつ、頭の中に「地図」と「目次」を増やしていきましょう。

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