心理歴史学と鹿の王とVBA

今回は、支離滅裂な題名が示す通り、雑感です。

心理歴史学

心理歴史学は、SF小説「ファウンデーション」シリーズに登場する架空の学問です。集団の数が充分に大きい場合、社会的・経済的影響が集団に与える心理学的影響を数学的に分析して、高い確度で未来を予測します。Wikipediaをはじめ様々なサイトで紹介されているため、そちらを参照していただければと思いますが、やはりお勧めは本書を読むことです。私は叶うなら、この本に関する記憶を全て一度消してから、もう一度読んでみたい。

心理歴史学が未来を予測するためには、以下の3点が重要とされています。

  1. 個人ではなく、膨大な人数から構成される集団を扱うこと。
  2. 対象となる集団が、心理歴史学が予測した未来を知らずにいること。
  3. 扱う集団が、人類のみで構成されていること。

つまり、私なりに理解するところでは、

  1. 或る環境下において、その環境に対し或る集団(または個人)が、そこから導き出された或る行動をとるのは必然である。
  2. 或る集団または或る個人を特定することはできないが、必ず誰かがその役割を担うことになる。

ということになります。これは、なかなか刺激的な内容です。世界を変えるのは他でもない、今、あなたかもしれない。そのような未来を示唆する内容に、ワクワクします。

今、日本では働き方改革に対する機運が高まっています。様々な法律が(とりあえず)整備され(つつあり)、私たちは今まで以上に「時短化」「効率化」を要求されることになるでしょう。そういった中、従来から多くの問題を内包しつつもExcel VBAが注目されるのは、個人的には心理歴史学的必然と考えます(もはや私の中で、この学問は「架空の存在」ではないですね)。

来年の春以降に、このような本の出版が計画されているようです(購入確定)。
tonari-it.com

なぜ、今、本格的なVBAの解説書を書く必要があるのか?それもまた、心理歴史学的必然です(※これも、あくまで私見です)。では、なぜタカハシさんが執筆するのでしょうか。あるいは同様の書籍が出版されるとき、それらの執筆者は「偶然に」決まるのでしょうか。私は、そうは思いません。

鹿の王

「鹿の王」は、「精霊の守り人」などでも有名な上橋菜穂子さん作のファンタジー小説です。その中に、このような一節があります。※ネタバレになってしまうので、多少表現を変えています。

  • 逃げ遅れた子供がいたとき、それを助けるという行為は、「出来る者」がやることだ。
  • 敵の前に唯一人飛び出して囮になる男は、それが出来る心と体を天から授かってしまった男なのだろう。
  • 才というのは残酷なものだ。ときに、死地にその者を押し出す。

上記の言葉に触れるとき、皆さんの知る様々な「男」(或いは女性)が脳裏に浮かぶのではないでしょうか。先の解説書について考えてみると、ビジネスとしての動機は勿論あるでしょうし、むしろそれは有って当然です。そして、それに加え「それが出来る心と体を持つ人」、今風に言えば「情熱とスキルを併せ持つ人」が動き出すのは偶然ではなく、必然だと思うのです。

業務改善とExcel VBA

情熱とスキルを併せ持つ人たちが良かれと思い、例えばExcel VBAなどを駆使して業務改善に当たるケースは、今後ますます増えていくと思います。この「良かれと思い」は、言い換えれば「勝手にやった」に繋がる恐れがあります。先に紹介したような本が出版され、ますますVBAの活用に対する機運が高まったとしても、これに起因する不具合などが生じれば会社単位、部署単位、個人単位でその機運は萎んでしまう。そのような事態を回避するためには、多くの方たちが既に示唆するとおり、先達・先駆者たちによる技術的指導や啓蒙活動に加え、組織がVBAを正式に資産として取り扱う運用が必要ではないかと思います。

おわりに

希望に燃えてVBAを学習した人たちが、周囲の無理解と不寛容にさらされ、失意のうちに諦めたり、あるいは不条理に責任を追及される事態は避けなければなりません。この壮大なテーマに対し、当ブログが担えるのは極めて微小な範囲です。しかし、普段なら切り捨てられる「小数点以下」の存在であっても、少しでも一助になればと思います。そのような存在もまた、心理歴史学的必然であると信じて。

参考まで。